拷問

珍しく、自分から料理の感想を言ってくれた。

 

「モツ煮、美味しかったよ。100点」

 

作っている時には

「たくさん作らなくていいよ。食べるの大変だから。」

と言っていたから後から褒めてくれたことにちょっと驚いた。

 

ちなみに普段〜不機嫌な時は、

「何でお前の趣味(料理のことを言っているらしい)に俺が付き合わないといけねーんだよ!俺が食わなかったらどうするんだよ!」

「趣味を押し付けんな!飯炊きババァかテメーは。いらねーよそんなん」

等、暴言を吐く。

 

趣味で毎日買い物行って献立考えて作るか!

 

とは言え、出来が良かったことに満足しながら、今日のごはんを作っていた。

作っている最中に、言ってくれた言葉だった。

 

しかし、そのあとに続けた言葉は

「あ、俺ごはんいらないから」

えっ、作っちゃったよと答えた。

夫が仕事に行く直前に、いつもごはんを食べているから。

待てない人だからお風呂上りに丁度いいように作っているところだったのに。

 

今から仕事に行き、帰宅するまで12時間以上はあるだろうに。

今日は節分だから、と

恵方巻き、お吸い物、きんぴらごぼうを用意していた、まさに出来上がる直前に言われた。

 

えっ、作っちゃったよ

 

それに対する答えは

「自分が食べたくない時に食べさせられるなんて拷問だ」

と言われた。

 

拷問だ、と言われた。

 

無理矢理食べろと言っているわけではない。

仕事に向かう旦那のために時間を合わせてごはんを作っただけで拷問と言われるのか。

恵方巻きなんて用意しなければ良かった。

魚屋さんとスーパーとお寿司屋さんを4〜5件回ったりしなければ良かった。

 

毎日毎日モラハラを受けているこちらの身になってみてもらいたい。

それでも私という妻に向かって拷問だなんて、

同じセリフが言えるのか。

 

例えば

穴を掘っては、その穴をまた埋める。

同じように穴を掘っては、その穴をまた埋める。

その作業を延々と繰り返す。

ひたすら繰り返す。

掘っては埋め、掘っては埋める。

いずれ、人はおかしくなるらしい。

無意味なことを延々とさせる、そんな拷問があるらしいと聞いたことがある。

 

私が夫に対して

美味しくて温かいごはんを毎日作ってあげよう

風邪薬を買ってきてあげよう

記念日にはこれをしよう

日々の生活の中で、思っては文句を言われ

行動しては違うと言われ

あげようとしてはいらないと言われ

毎回毎日、ああもうやめよう、この人のために何かしてあげようなんて思うのやめよう、と思いつつ

やっぱり、これをしたら喜ぶかな、嬉しいかな、なんて考えてはまた悲しい気持ちにさせられ

延々と繰り返すこの日々が

拷問以外の何者なのか。

 

それでも私という妻に向かって拷問だなんて、

同じセリフが言えるのか。

 

ひとつの嬉しい出来事よりも

ひとつの悲しい出来事の方が

よっぽど心に突き刺さってしまった。

 

また、心が固くなった。